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電子マニフェストの豆知識

マニフェスト発足の経緯

マニフェストという言葉は、法令では使われていません。法律では、産業廃棄物管理票と規定されていますが、通常は、マニフェストが広く使われています(ここではマニフェストといいます)。 マニフェスト(manifesto/ manifest)という言葉は、民主党が言いました政権公約などで知れ渡りましたが、この語源は共産党宣言で別のものです。廃棄物のマニフェストは、船で運ぶ積荷の 目録が語源です。 マニフェストは、1993年に厚生省が特別管理産業廃棄物に初めて使用を義務化しました。その後、1997年に産業廃棄物全てに適用され制度化しました。 また1998年より電子マニフェストの運用が開始されました。このため従来のマニフェストは電子マニフェストに対比して紙マニフェストと呼ばれております。紙マニフェストは当初6枚綴り複写式でしたが、排出事業者責任の一環として最終処分の確認までが求められ、現在はE票が加えられ基本的に7枚綴りとなっています。

マニフェストの意義

廃棄物処理法(廃掃法)では、産業廃棄物はその処理を委託する場合には、発生から最終処分の確認まで全ての責任は排出事業者(医療廃棄物の場合には医療関係機関等)にあるとしています。ところが医療関係機関等は、廃棄物を処理業者に引き渡ししたなら、その後の状況を知る方法がありません。このため排出事業者が7枚綴りのマニフェストを交付し、一連の処理が行われる度にこのマニフェストが排出事業者(医療関係機関等)に返送されることでその処理を確認するというものです。排出事業者(医療関係機関等)にとっては、不法投棄など不適正処理から 身を守り、排出事業者責任を遂行し最終処分の確認まで行う重要な手段といえます。ところが多くの排出事業者(医療関係機関等)では、マニフェストは処理業者が持ってきて行うものと処理業者任せにするなど大きな誤りをしていますので注意が必要です。
⇒ 実際のマニフェストについては、マニフェストの流れ を参照してください。

マニフェストの流れ

実際にはマニフェストの処理をどのように行うかといえば、排出事業者(医療関係機関等)は廃棄物の排出と共にマニフェストを収集運搬処理業者に交付します。この際手元に綴りの一番上のA票を保管します。収集運搬処理業者は、廃棄物を中間処理業者施設に搬入した時に、B1票とB2票を預かり、中間処理業者に残りのC1、C2、D、E票を渡します。そして収集運搬処理業者は、運搬の終了を排出事業者(医療関係機関等)に知らせるためにB2票は返送、B1は手元に保管します。同様に中間処理業者は、中間処理が終われば、C1票を手元に残し、排出事業者(医療関係機関等)にD票を返送、これにより医療機関は中間処理が終了したことが分かります。C2 票は収集運搬処理業者に返送します。これで中間処理は終了しましたが、2001年より最終処分の確認が義務付けされました。中間処理業者は最終処分のために焼却などの残渣(灰)を最終処分場に運搬するために、新たにマニフェストを交付し、収集運搬処理業者に依頼します。このマニフェストは先の一次マニフェストに対比して、二次マニフェストと呼ばれています。最終処分が終了すると中間処理業者には、D票とE票が返送され、これにより最終処分が確認され、排出事業者(医療関係機関等)に一次マニフェストのE票を返送します。排出事業者(医療関係機関等)は、このE票の終了日付を確認し、A票に記入することを持って廃棄物の一連の処理を終了したことを確認したことになります。

電子マニフェスト

マニフェストは1997年に産業廃棄物全てに適用され制度化されました。翌1998年より電子マニフェストが導入されました。 前項のマニフェストの意義やマニフェストの流れの説明は従来から行われていた紙マニフェストの説明でした。電子マニフェストは、インターネットを使いマニフェストの意義で示したことと同様に廃棄物が不適正に処理されないように、また排出事業者がその責任を果たすために最終処分の確認まで行うためのものという点では、紙マニフェストと変わりはありません。紙マニフェストと電子マニフェストの違いを比較しながらみてみます。紙マニフェストは、適正処理の証として、排出事業者(医療関係機関等)は、手元にあるA票と処理業者から返戻を受けたB2票、D票、E票を受領した日から5年間の保管が法律で義務付けられています。また紙マニフェストの交付状況を都道府県等に報告する義務が有ります。紙マニフェストでは、処理業者の確認は押印することにより行います。先のように処理業者任せにして確認を疎かにするならば、例えば中間処理の焼却をしないで、偽の印鑑を用いて押印をするなどが可能であるといえます。一方電子マニフェストは、これらの欠点を補い、煩雑な事務手続きを軽減し、またより適正処理を期するために導入されました。電子マニフェストは、インターネットを利用し、(財)日本産業廃棄物処理振興センターが情報処理センターとして一元的にマニフェストを管理するというものでマニフェストの保管義務や交付状況の報告義務が免除されます。

⇒ 電子マニフェストの詳細については、下記リンク先を参照してください。

公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター 情報処理 センター

医療廃棄物トレーサビリティシステムとは

排出事業者(医療機関等)から排出された医療廃棄物が収集運搬から処分されるまで医療廃棄物の容器1つ1つに識別コードなどを貼付し、個体 を追跡管理するシステムです。不適切な処理(不法投棄や過失)が起きた場合、さかのぼってデータを検索できるだけでなく、排出事業者責任や処分者の責任が明確になり、事業の透明性を証明するシステムです。 排出された場所、品目、数量、取扱者が順次記録されるものです。導入のきっかけは、1999年青森・岩手の県境の国内最大規模の不法投棄問題が発覚し、ここで大量の医療廃棄物が発見され、医療業界で大きな課題となり排出事業者責任を問われることになりました。委託業者に優良事業者を設定する事と、トレーサビリティシステムを利用する事は、不適切な処理を防止の点で非常に有効だと考えられております。

導入効果 どのようにして不法投棄から守られるのでしょうか?

排出事業者(医療機関等)は収集運搬事業者と1個あたりの単価若しくは重量で契約します。収集運搬事業者は中間処理事業者と重量で契約します。ところがマニフェスト伝票には、個数/重量の記載がありますが現物の医療廃棄物は目視して個数を数えるだけです。したがってマニフェスト電票では排出者(医療機関)からどのくらいの重さの医療廃棄物が、どのくらいの個数、収集運搬処理業者に渡たし、これが中間処理業者に正確に引き渡されたかまでで、個々の容器の個数の確認まではできません。電子マニフェストであっても個数の引渡ししかわかりません。そこで、トレーサビリティシステムを利用すると、どのくらいの重さの、どのくらいの個数が、いつ/どこで/誰が/誰に渡したかが記録が残るだけでなく、インターネットを利用して医療機関からでも確認することができるのです。またこれらが正確に引渡されているかを、さらに機構が認めたトレーサビリティシステムとして確認しており、これにより不適正処理を防ぐことができます。意図的でなく過失でも不適正処理は起こりトレーサビリティシステムがカバーしてくれます。

医療廃棄物トレーサビリティの概要図

医療廃棄物トレーサビリティシステムの要件

※1 株式会社イーシス  http://www.e-sis.co.jp
※2 ムラテッククリーンボックス株式会社 http://www.mcb1990.com/

最後に(排出事業者責任を全うするためには)

適正処理(管理)は排出事業者(医療関係機関等)と処分事業者(収集運搬/中間処理)双方の協力なくして実現出ません。