> 一般の方へ[医療廃棄物の豆知識]

医療廃棄物の豆知識

医療廃棄物

医療廃棄物という言葉は、現行の廃棄物処理法にはありません。

一般的には、分かり易さから用いられています。

経緯をみると、法の裏付けはない任意のものですが、平成元年に当時の厚生省から通知された「医療廃棄物処理ガイドライン」があります。 医療廃棄物の管理、排出及び処理の指針としてとりまとめられたもので、医療廃棄物の適正処理を図るため示されたもので、これが「医療廃棄物」 という言葉が用いられたきっかけです。

平成4年に廃棄物処理法に新たに特別管理(産業・一般)廃棄物の概念が規定され、その中の1つに感染性(産業・一般)廃棄物が設けられまし た。この具体的処理のために法的規制を含めた「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」が通知され、先のガイドラインに代わり、 今日に至りました。したがって、正確には、「感染性廃棄物」というのが法的な用語です。医療廃棄物の詳細説明は、○○を参照してください。

排出事業者責任

事業活動に伴って生ずる廃棄物、いわゆる産業廃棄物は、法令で20種類が決められています。これに該当するものは、事業者自らの責任に おいて適正 に処理すると廃棄物処理法第三条で規定されています。

しかし実際にはダイオキシン類の関係などで自ら焼却などの中間処理はできないために法令に従って他の者に委託することができます。 ここで重要な大前提があり、これは「自らの責任において適正に処理」という部分で、これは他の者に委託しても、その責務は全て排出する 事業者にあるということです。廃棄物処理法の基本的な精神であり、この責務を排出事業者責任といっております。

これに該当するものとしては、許可ある処理業者に委託するということで許可証の確認、特別管理産業廃棄物については委託する以前に排出 する廃棄物の情報を処理業者に文書で通知するという、いわゆるWDSの提出、法令に基づく契約の締結などから始まり、廃棄物の排出から 最終処分の確認のためのマニフェストの交付と管理、廃棄物に関する情報の提供、注意義務の遂行などと広範に亘っており、年々厳しいもの となってきております。したがって不法投棄などの監視も原則は排出事業者が行うという前提であり、医療機関が優良な処理業者を選択し、 より良き関係を継続するということが重要になってきます。詳しくは、⇒ 廃棄物処理法における責務の所在 その2 産業廃 棄物・排出事業者責任 を参照してください。

廃棄物に関する法律

廃棄物は、医療・建設などいろいろな分野も1つの法令で決められています。

廃棄物の法令は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年12月25日法律第137号)」といい、通常は、「廃棄物処理法」あるいは、 「廃掃法」と略して呼ばれています。(ここでは、以下、廃棄物処理法といいます。)

法律は、国会で決められ、その施行のために、閣議で決められる政令、廃棄物であれば、環境大臣により決められる環境省令(施行規則) が段階的にあり、運用されています。

廃棄物処理法の目的

廃棄物処理法の目的は、第一条で、「廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、 並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。」となっています。

廃棄物の種類

廃棄物は、大きく分けて、生活に伴うゴミである「一般廃棄物」と事業に伴う「産業廃棄物」の2つがあります。

法律的には、第二条二で「産業廃棄物以外を一般廃棄物という」と産業廃棄物の種類を法律と政令で規定しています。

廃棄物の定義

廃棄物は、第二条で、「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物 又は不要物であって、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによって汚染された物を除く。)をいう。」と規定されています。

廃棄物処理法における責務の所在 その1 生活ゴミ・国民に関するもの

最も重要なことは、この法律においての廃棄物処理の責任の所在です。現在の法律では、国民全般に関するものと事業者に関するもの との2つに分かれております。

国民に関するものとしては、

(国民の責務)

第二条の三  国民は、廃棄物の排出を抑制し、再生品の使用等により廃棄物の再生利用を図り、廃棄物を分別して排出し、その生じた廃棄物 をなるべく自ら処分すること等により、廃棄物の減量その他その適正な処理に関し国及び地方公共団体の施策に協力しなければならない。 と、廃棄物排出の抑制、再生、再利用と3Rを勧め、その排出には分別し、なるべく国民自ら処分することと等によりと自ら処理の基本を推 奨しています。 しかしその一方で、国民に関する廃棄物については、(国及び地方公共団体の責務)として、第四条の一部で「一般廃棄物の適正な処理に 必要な措置を講ずるよう努める」と国民が排出するいわゆる生活ゴミである一般廃棄物については、実際には市町村がその処理に当たること を規定しています。

廃棄物処理法における責務の所在 その2 産業廃棄物・排出事業者責任

最も重要なことは、この法律においての廃棄物処理の責任の所在です。現在の法律では、国民全般に関するものと事業者に関するもの との2つに分かれております。 事業者に関するものとしては、

(事業者の責務)

第三条  事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。 と事業に伴って生ずる廃棄物、いわゆる産業廃棄物については、事業者自らが処理業者することを明確に規定しております。ここで自ら処理 ついては、他の法令で規定される形で委託をすることができます。

そしてさらに、(事業者の責務)第三条2 で、以下のように

2  事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物の再生利用等を行うことによりその減量に努めるとともに、物の製造、加工、販売等に際 して、その製品、容器等が廃棄物となった場合における処理の困難性についてあらかじめ自ら評価し、適正な処理が困難にならないような製品、 容器等の開発を行うこと、その製品、容器等に係る廃棄物の適正な処理の方法についての情報を提供すること等により、その製品、容器等が廃 棄物となった場合においてその適正な処理が困難になることのないようにしなければならない。 と排出事業者責任について具体的に規定をしております。 「廃棄物の適正な処理の方法についての情報を提供すること等により、」と排出事業者は、委託をする場合であっても、その処理についての 情報提供等を義務付けているといえます。これは医療機関が、感染性廃棄物を処理業者に排出する際にもあらかじめ、あるいはそれが変わる時 などは、その都度、その廃棄物についての情報を提供しなければならないということです。⇒ WDS(廃棄物データシート 参照)

医療廃棄物適正処理事業者を検索する